ヨーロッパ最高の美術コレクションとして有名なスペイン・マドリッド・プラド美術館から、宮廷画家ディエゴ・ベラスケスの絵画7点に加えてフランドル絵画などの絵画を紹介するプラド美術館展(兵庫県立美術館)に行ってきました。
スペイン王家から絶大な信頼を得ていた宮廷画家ベラスケスは、国王フェリペ4世や当時の人物風景画を通じて、人々の活動を伝えてくれています。華美な色使いを用いることはなく、しかし、コントラストのしっかりとした配色で不思議な気品が漂っていました。静止画としての肖像画の域をはるかに超えていて、人物の心の中からのメッセージを語る動画や映画を観ているかのような臨場感が溢れていました。
特に感銘を受けた絵は、バリェーカスの少年でした。少年と同じ高さからの目線。背景としての崖と山々。手を前で会わせた姿勢。左下肢、手、顔にハイライトをあてた躍動感。王太子バルタサール・カルロスの遊び相手であった少年は、倭人(低身長症)であったそうですが、王家の中での少年の活躍を想像でき、動的なメッセージが伝わりました。
日本で今回レベルのスペイン絵画を観るチャンスは、私の人生でおそらく2度とないと思います。プラド美術館展の企画をされた方々に、心から感謝申し上げます。