紙パ技協誌(1995年1月)に掲載されている山田卓良氏による寄稿「表と裏の話」に、裏を表にする作業、物事を明らかにする作業、すなわち科学における、西洋と日本の心情の異なりについて、次のように紹介されています(#)。日頃あまり考えないことで興味深いので紹介します。「森本哲郎氏は“日本語 表と裏“の中で、西洋人は見えざるもの、かくれているものに畏怖や不安を感じ、その不安を克服しようと、裏を表に引き出す不断の努力を続けて来た。これに対し日本人はすべての物事に裏を見ながら、裏をつきつめようとはしなかった。中略—日本人は、物事をあきらかにすることをあきらめると言う形で、断念する意に添加させてしまった」。
8月12日は、日本航空123便が群馬県上野村に墜落、520人の命を失った日、36年前のことです。航空事故調査委員会の報告では、後部圧力隔壁の修理ミスによる疲労亀裂が生じて破断したことにより機内から急激に空気が流出。その圧力で垂直尾翼が吹き飛ばされ油圧系統も破壊されたことが墜落の原因と推定されるとの結論がでています。このように報告されている墜落原因(表の報告)に、疑問をもたれているご遺族やその関係者がいらっしゃることは聞いておりましたが、具体的な内容について知る機会を逸していました。墜落の原因や、救助の過程に報道されていない裏の真実があるのか。「日航123便墜落の新事実」著者の青山透子さんは、事故機でクルーと同僚であった方です。墜落付近の小学校で生徒が見聞きした事の丁寧な聞き取り、米軍横田基地での取材、救助を担当した方の声と見て嗅いだ感覚、種々の専門家の意見。事故がどんどん風化する中で、熱量がこもった取材報告がされています。
「かなりの頻度で自衛隊機に仮想敵機として追跡される経験がある」と(当時の)多くの日本民間航空機のパイロットが語る事実。墜落日航機の胴体がオレンジ色に大きく染まっていたと見えた事実。墜落直前の日航機を自衛隊ファントム2機が追尾していたことを村人がみていた事実。米軍ヘリが墜落地点を直後に報告したにもかかわらず、翌朝まで公式な救助がされなかった事実。消防ヘリではなく、自衛隊ヘリが率先して現場で活動していた事実。「墜落原因は、自分らが死んだずっとずっと後にいつかわかる」と複数の日航社員が話していた事実。報告書で記されていない墜落経緯にどのような裏が潜んでいるのか、読まれた方の感じ方は様々と思いますが、学ぶことが多い力作でした。
最後に、私個人がずっと?と思っていることがあります。政府や厚労省は、新型コロナ感染は、飛沫感染であり、空気感染しないとの見解を示しています。各種感染対策も空気感染しないことが前提で取り組まれています。本当ですか?。ダイアモンドプリンセスでの感染者発生部屋報道を見ていた時に感じ、今も変わっていません。空調換気システムや滞留空気での空気感染の可能性が少なからずあると感じているのは私だけでしょうか。