夏期休暇を利用して、京都を散策しました。地下鉄東山駅から徒歩10分ほどにある青蓮院門跡を訪れました。楠の巨木が入り口で、迎えてくれます(写真上)。樹齢800年ともいわれる太い幹と全てを包み込むように広がる枝葉のおおおらかさに敬意をささげながら中へ。

青蓮院門跡は、「三千院」、「妙法院」とならぶ天台宗三門跡として格式の高い寺院だそうです。歴史的背景を理解して身につける体力がありませんでしたので、今回は、歴史の理解はさておき、空間をしっかりと楽しむことに専念しました(ゆったりとした空間と流れる風がそれはそれはすばらしく、歴史を知りたいという欲が邪魔に思えたのかも知れません)。

受付をすぎると、華頂殿という建物に入ります。庭をながめる開放的な空間が横方向に広がり、皆さんがゆったりと座られています。部屋の中でくつろいでいるのに、扉などのない空間で、目の前に広がる庭の絶妙な距離感や深い色合との調和に感動しました(写真中)。ゆったりとすごす贅沢ってこういう事なんだろうなと感じながら。

さて、ふと振り向いてみると、襖に目が止まります。描かれているのは、あざやかな蓮。コントラストが効いた深い青を基調とした色合い(写真下)。襖の下部を中心に大輪の蓮が広がる配置がなされていることで、畳があたかも池で、部屋に座っている我々は池に入り込んで眺めている印象も受けました。カエル、トンボなども愛嬌たっぷりに描かれ、あちこちで戯れています。これらの襖を通って縁側へと流れる風はすばらしくやさしいものでした。リピートしたくなる空間。次は、すこし寒くなった頃に、ひと時を過ごしたいものです。そして、その時は、襖絵から庭へと流れる風が感じとれるような写真としてご紹介したいと思いました。