胃の粘膜に迷入すると激しい胃の痛みや嘔吐を引き起こすアニサキス。長さが2〜3cm、幅は0.5〜1mmほどの白い線状のアニサキス幼虫を活きている状態で食べてしまうことが原因です。食事内容と胃痛みの程度でアニサキスを疑った際には、胃カメラを適時に行い、胃粘膜に入り込んでいるアニサキス幼虫を摘出する内視鏡治療も当院では行なっております。アニサキスが思い当たる場合には、ご連絡ください。

 

写真 生サンマの寿司を食べた後に胃痛を発症し来院。胃カメラ検査で胃の壁に入り込もうとしているアニサキス幼虫を発見し摘出。直後から胃の痛みは消失し治療終了となりました。

 

さてそのアニサキス。胃の痛みを発生するだけではありません。アニサキスを食べることによって、アニサキス由来のアレルゲンを介したIgE依存性反応が誘発され、蕁麻疹、体のかゆみ、湿疹、皮膚のむくみなどの皮膚症状、アレルギー症状を発生することがあります。さらに、眼のかゆみやむくみ、くしゃみや鼻詰まりなどの鼻症状、口腔内の違和感やのどの痒みやイガイガ感などを誘発することも。時には血圧低下、呼吸障害、意識障害といったアナフィラキシーを発生させることがあるので要注意です。

 

アニサキスは、サバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、イカ、イクラ、ホッケ、タラなどによく寄生していますが、これら以外の魚への寄生も報告されています。焼き魚などのしっかりとした加熱処理でアニサキスによるアレルギー反応は消失します。しかし、酢処理(例えばしめ鯖)や冷凍処理ではアニサキスは死滅しますが、アミノ酸構造は変化しませんのでアレルギー反応性は残ります。思い当たる原因がないアレルギー症状でお悩みの場合は、これらのアニサキス関連の魚を食べていないか、観察していただくこともお勧めです。2023年12月3日(日曜)14時〜京橋で開催された大阪府内科医会の講演会に参加し、アレルギー診療の豊富な経験をお持ちの藤谷クリニック院長・藤谷宏子先生とアニサキスアレルギーについての情報交換を行いました。

 

 

 

アニサキスの内視鏡摘出については過去情報を参照ください

激しい胃の痛みをひき起こす胃アニサキス症は胃カメラでの摘出を