前回のCoffee Talkでご紹介したHawaii Travel Hints 100(今井栄一著)に、マウイ島東端にあるハナという街が紹介されていました。私は訪れたことがない街。マウイ島中心部にあるカフルイを車で出発、3時間ほどハナハイウエイをのんびりと走ると、今井栄一さん曰く、いつも旅人を暖かく迎えてくれる街、空気の清々しい街、ハナに到着するそうです(写真上)。そこは、飛行家の草分けであるリンドバーグ夫妻が後半の人生を過ごした街。その街で過ごしながら、妻アン・モロウ・リンドバーグが執筆した本が紹介されていましたので、読んでみました。

海からの贈物「Gift from the Sea」。すばらしい配色の貝殻が表紙を飾っています(写真下)。ページの少なめの本でもあり、表紙の美しさからも、イージーリーディングと考え読み始めたのですが、ハナという単語も、マウイやハワイという単語も登場しません。女性飛行家としての華々しい経歴も登場しません。記されていることは、自分をしっかりと見つめること、自分の立ち位置をしっかりと把握すること、そして、人生についての自分自身との丁寧な対話です。原著は1955年に発刊されたものですが、IT/デジタル化が進む現代を生きのびる必要がある私たちにこそ、自分自身の姿勢のあり方、そして、自分との対話の大切さを伝えてくれています。きっと、マウイ島ハナというすばらしい街が、これまでの女性飛行家としての人生を振り返らせて、彼女の感性がこの本となり世の中に存在し続けているのでしょう。まずは3回読んで、ようやくこのタイトルが理解でき、紹介記事を書きました。忙しい日常で、旅をしている時に、電車の中で、または、お気に入りのBGMが流れるカフェで、異なる場面で読むと、その時々に適したことを気づかせてくれる本と思います。何度も読み返したい1冊。名著です。

文章を読んでいて、翻訳を担当された吉田健一さんという方は、とても誠意を持ってこの著書に対されていると感じました。原文が浮かぶところも沢山散りばめられていて、波の音が心地よく聞こえるマウイ島の海にどんどん引き込まれました。