6月になり蒸し暑い季節となってきました。花粉症の方が少なくなるのと逆相関するように、めまい・ふらつきでお悩みの方が増えてくる季節でもあります。脳、特に小脳系の異常が原因で発生する場合は、目の前が一方向にぐるぐるまわる回転性めまいを呈することが特徴です。視野欠損や言葉がしゃべりにくい等の症状を伴う場合は、CTやMRI検査を必要としますが、頻度としては高い病気ではありません。
多く遭遇するめまいは、なんとなくふらつく、頭の向きを変えたら発生する、ふわふわと雲にのっているような、むかつき(嘔気)、頭重感/頭痛やだるさを伴うようなめまいです。これらの場合は、脳の異常ではなく、神経症、貧血、内耳や脳など局所のむくみ(浮腫)、胃腸障害などが原因となっていることが多いです。暑くなってくると、体の中の水分バランスが局所的に崩れて、局所的にむくんで浮腫が発生すると良好な血液循環が妨げられ、症状が出てきます。つまり、夏バテの一つの症状ともいえます。
めまいに効果のある内服処方も多くの場合に行います。夏バテ対策としての漢方薬の内服を追加すると、めまい症状をさらに改善してくれることも多く経験します。体の中の水分配置を整えて夏バテを解消するのは漢方薬が得意とする治療領域でもあります。2020.6.25(木)19:00-、センプククリニックの千福貞博先生からめまい・耳鳴り・夏バテの漢方治療についてのweb講演を聞きました。診療終了が遅くなり途中からの参加となりましたが、夏バテによる局所浮腫(漢方医学では水毒と呼ぶそうです)を改善するための漢方処方と効果発揮メカニズムについて知識が深まりました。夏バテ初期症状としてのめまい・ふらつきをほっておくと、全身に影響をおよぼす循環不全や脳梗塞などに進みかねません。本当の貧血がないかの判断も必要なこともありますので、はやめに受診ください。