脂肪細胞はアディポネクチンという生理活性物質を産生・分泌しています。アディポネクチンは、血管内腔に付いた傷の修復を促すことにより動脈硬化の進行を抑制したり、骨格筋などのインスリン感受性を高める(インスリンの働きを良くする)ことで膵臓からのインスリン過剰分泌を抑制し、糖尿病の発症予防効果などを発揮します。その他にも骨粗相症、心不全、腎臓病などの進行の抑制効果もあることから、善玉物質とも称されています。内蔵肥満が蓄積したり肝臓への脂肪沈着が進行(脂肪肝)すると、アディポネクチンの産生が低下し、低アディポネクチン状態となることで様々な成人病の発生や進行に関連します。

2019.11.16(土)17時〜、心斎橋で開催された脂質・動脈効果セミナーに参加し、大阪大学内分泌・代謝内科教授の下村伊一郎先生から高脂血症や脂肪肝がもたらす低アディポネクチン状態と動脈硬化・糖尿用の進展についての講演を聞きました。内蔵脂肪や脂肪肝は腹部超音波検査で的確に把握できます(写真中、下を参照ください)。空腹時に行う超音波検査でより的確に評価できますので、予約制とさせていただいております。健康診断で肥満、脂質異常症、高脂質血症、肝機能障害、脂肪肝の疑い、高血圧などの記載がありご心配な方はどうぞご相談ください。

 

脂肪肝の有無は、超音波検査で肝臓と腎臓の輝度(エコーの明るさ)を比較して評価します。写真画像では肝臓と腎臓の輝度はほぼ同じであり、脂肪肝ではないと判断できます。また、腎臓と肝臓がぴたっと接触していることから、腹腔内脂肪は多くないと判断できます。

 

超音波検査で脂肪組織は白く描出されます。そのため、肝臓に脂肪が沈着する脂肪肝では、肝臓の輝度が腎臓のそれと比較して白く描出されます。また、写真画像では腎臓と肝臓の間に幅3センチ程度の脂肪組織が描出されており、腹腔内脂肪は多いと判断できます。