現在の日本では、糖尿病の方および糖尿病が強く疑われる方の総数は約1000万人と推定されています。糖尿病自体は症状がないことが多く、病気が進行していても気がつかないことが糖尿病治療の課題でもあります。血糖が高い状態が続くと、体の細い動脈に障害が起ります。この障害が顕著に現れるのが血管豊富な腎臓で、糖尿病性腎症という腎不全状態を引き起こしてしまいます。腎臓の障害はかなり進行するまで症状がなく気がつきません。そして、難題なことに、腎臓の障害は一旦発生すると治す手段がありません。糖尿病性腎症が進行すると血液透析が必要になることも多く経験します。ですから、血糖を改善させて、腎臓での細動脈障害の進行を少しでも防ぐことが治療の中でも大切な点です。
2019.7.4(木)20時〜、梅田で開催された慢性腎不全セミナーに参加し、久留米大学医学部腎臓内科部門教授の深水圭先生から、糖尿病性腎症治療の最前線についてのお話を聴きました。腎臓の中で老廃物を濾過する糸球体という組織をいかに保護するか、腎臓全体のむくみ(浮腫)を改善させて腎臓の血管をいかに保護するか、そして、現在用いられる糖尿病治療薬を腎臓の機能の点からいかに選択するかについての活発な討論に参加してきました。血糖を管理する膵臓と肝臓、そして老廃物排泄の要としての腎臓。この3つの臓器が安定して機能することに注力して、糖尿病治療にあたっております。