2019.05.23(木曜)、横浜にある横浜市開港記念会館で行われた第26回肝細胞研究会にて新規薬剤による肝炎・肝機能障害治療効果について発表しました。演題名は「PPARα modulator—ペマフィブラートによる肝炎・肝機能障害抑制効果」です。
肝機能障害や肝炎の状態は、症状がない状態でも長く経過すると慢性肝炎から肝硬変へと進展し、肝癌の発生とも関連することから慎重に治療すべき病態です。肝臓を保護する薬の注射治療や、肝機能障害改善薬の内服などが一般に行われますが、効果が限定的なことも多く、新しい治療薬の登場が期待されている状況です。そのような中、新規開発された中性脂肪を下げる薬を内服している患者様の経過観察中に、併存している肝炎や肝機能障害が顕著に改善することに複数の症例で気づきました。そこで、当該薬を処方した当院63名の患者様のデータを解析し肝炎・肝機能障害に対する抑制効果について解析し発表しました。
肝細胞研究会は、基礎生物学、薬学、臨床医学と幅広い分野の肝臓と肝臓細胞の専門家300名ほどが参加する研究会で、肝臓病のメカニズムや治療について密な情報交換がなされます。今回発表した結果に多くの大学病院の消化器内科の先生が興味をもたれ質問を受けました。日本レベルでこの薬の新しい効果について探索されていくことを期待しています。
会場の横浜市開港記念会館は築102年の歴史的建造物。ジャックの塔と呼ばれるシンボリックな時計塔はコンクリート部がアクセントストライプとして魅力的なデザインでした。内部2階には開港をデザインしたステンドグラス。歴史情緒たっぷりの中での学会でした。