スギ・ヒノキ花粉によるアレルギー(花粉症)のシーズンが終りに近づくと、次はイネ科花粉の飛散が始まります。イネ科花粉による花粉症の主な症状は、鼻みず、鼻づまり、くしゃみとスギ・ヒノキ花粉症と共通ですが、眼のかゆみや充血などの眼症状が強く出やすい傾向にあります。適切な抗アレルギー薬の内服や点眼薬の使用で、快適な日常活動を目指すことは大切です。

大阪でのイネ科花粉の飛散ピークは4月下旬から5月下旬と、8月中旬から10月中旬とのこと。公園などの草むら、河川敷、空き地など、いろいろなところにイネ科は生息しています。樹木花粉と異なるのは、花粉飛散距離です。スギ・ヒノキ花粉は時に200kmも飛散するのに対し、イネ科花粉はせいぜい数百m。ですから、イネ科花粉症の方が外出される際には、雑草が生えている付近ではマスクとゴーグルの着用をお勧めします。

2024年5月9日(木曜)19時〜web開催のアレルギーレクチャーに参加し、東京大学耳鼻咽喉科教授の近藤健二先生から、春から夏の鼻炎症状と対策についての講演を聞きました。イネ科花粉症の割合を年齢別でみると、20歳〜50歳代で20-30%、60歳以上で約10%と、実はたくさんの方が罹患されているとのことです。花粉症で鼻症状が強いまま放置すると、口呼吸の割合が多くなります。鼻を通って呼吸するのには意義があり、鼻通過時に肺に吸い込む空気を十分に加湿し、また、その空気の温度を十分に温めてくれています。ですから、花粉症で口呼吸が多くなると、乾燥して低い温度の空気を吸い込むことにつながります。その状態が続くことは、気管支症状(気管支炎や気管支喘息など)にもつながる可能性があることからも、花粉症は適切に治療されることがおすすめです。