「野菜や果物をたくさん食べることは体によい」と一般に言われています。具体的にどのようによいのかと問われると、体によいことがいっぱいあってそれらが積み重なって効果がでるのだと考えます。今回は、その中で、カリウムの働きに着目したお話です。
野菜、果物、藻類、イモなどにカリウムは多く含まれています。カリウムはナトリウムとともに体中の細胞の浸透圧を維持することで細胞を守っています。また、腎臓で尿へのナトリウム(塩分)排泄を促進することによって、血圧を下げる働きも担っています。ですから、血圧が心配だけど、味噌汁がお好きな方は、カリウムを多く含む具沢山なお味噌汁をとれば、塩分がしっかり排泄されるので血圧の維持にお薦めです。また、心臓や筋肉の働きを調節する役目も担っています。このように、体の維持にはかかせない働きをしているので、カリウム不足にならないように注意することは大切です。腎臓の機能がかなり低下している方以外は、カリウムを沢山とりすぎても高値にならないようにバランス機能を持っていますから、多すぎることを気にする必要はありません。
2020年10月10(土曜)16時〜梅田で開催されたカリウム代謝を考える研究会に参加し、和歌山県立医科大学腎臓内科教授の重松隆先生から、カリウム摂取と長寿についての講演を聴きました。野菜と果物を両方とも多めに食べる方は、そうでない方に比べて心臓病や高血圧が原因による死亡率が有意に低かったというオーストラリアからの研究成果、野菜をたくさん食べる方はそうでない方に比べて腎臓病が悪化しにくいという米国からの研究成果などが紹介されました。