“健康診断で貧血を指摘されたけれど、症状がないので様子をみていました”とお話しをされる場面にしばしば出会います。貧血とは一般には血中ヘモグロビン値が低いことを示します。ヘモグロビンは呼吸で取りこんだ酸素を体中の臓器や組織へ運搬する働きをしますので、血中ヘモグロビン値が低いと、いろいろな臓器に十分量の酸素が届かない状態が続き、時には病気の発症にもつながります。ヘモグロビンは赤血球の中に詰め込まれており、鉄を材料として作られるものです。

病気の一つを例に挙げてみます。心臓の収縮力が低下すると、心不全という病態となります。最近の世界的な臨床研究の結果、鉄成分を静脈注射で補充することで、心不全の病態が改善効果が期待できると報告されています。この結果は、鉄補充を通じて貧血が改善されることに加えて、補充した鉄が体のいろいろな細胞の活動における重要なエネルギー源として利用されることを意味しています。つまり、貧血と鉄状態を良好に保つことは、体全体を良好に維持するにあたりとても重要となります。

2022.4.13(水)17:00〜日本全国の医療関係者を対象としたweb講演会を行いました。鉄補充治療を静脈注射で行うにあたり、どの程度の期間にどの程度の鉄量を補充することが適切かについての情報提供を中心に講演を行いました。体内の鉄分量は多ければ良いというものではありません。過剰すぎる鉄分を体内に取り込むことは炎症惹起につながることから、体内の鉄状態を適切に把握しながらの補充治療が望まれます。この点について医学書籍における日常診療に即応できる記載が乏しいのが現状です。そこで、私共のクリニックでの取組と貧血改善データの解析をご紹介し、日本中での貧血診療に少しでもお役に立てていただければと本講演をお引き受けしました。

当院の貧血に対する取り組みのご紹介

TV番組「主治医がみつかる診療所」で医療監修を担当しました

“氷をガリガリしたい”お悩みー氷食症について学会講演を行いました