糖尿病の患者様と向き合うにあたり、気にかけなければならない点の一つに、腎機能障害の進行があります。現在日本において人工透析治療を受けられている患者さんは約33万人で、透析に至る原因疾患は男女共に一位が糖尿病であることからも、腎機能の悪化を防ぐことにも気を配る大切さを理解していただけるかと思います。腎臓の機能ユニットはネフロン(血管+糸球体+近位尿細管+ヘンレループ+遠位尿細管で構成される)と呼ばれ、約200万個のネフロンが腎臓あります。腎臓の機能はそれら200万個のネフロンが機能して担っていますが、このネフロンの一つ一つが壊れてしまうと、再生修復させることはできません。つまり、ネフロンを壊さないように気を配ることが大切となります。
2018.2.17(土)17時〜、
千里中央で開催された北摂糖尿病フォーラムに参加し、大阪市立大腎臓病態内科講師の森克仁先生から、SGLT2阻害による糖尿病治療がもたらす腎臓保護効果についての講演を聴きました。SGLT2は、糸球体で濾された尿から糖分を再吸収させ、糖分を体内へと戻す働きがあります。このSGLT2を阻害する薬が近年登場し、SGLT2阻害薬の内服によって尿に糖分を排泄させることで、糖尿病状態を改善させてくれます。最近の研究によって、この薬は、糸球体周囲の血流も改善し、また、ネフロン周囲の浮腫も軽減させる働きもあり、腎機能の保護効果もあることが解ってきました。開発されてまだ数年の薬ですので、効果と副作用のバランスも考えながら、お一人お一人の患者様により最適な治療を提供できるように取り組んでおります。
院長の大橋は、休診日の水曜の夕方から夜の時間帯で、他県にて約60名の透析患者様の診療に毎週従事しております。腎臓を守る大切さをしっかりと理解しながら、糖尿病患者様と治療に取り組んで参ります。