腎臓は細胞が活動する際にできる老廃物や、余分な塩分などを尿として体の外へ排泄する働きをしています。腎臓の中の糸球体という組織で尿が濾しだされた後、尿細管という管のような組織を通りながら尿ができあがるのですが、その尿細管は体にとって必要な要素(アミノ酸・ミネラル・ブドウ糖など)を尿から再度吸収して体内に戻す働きもしています。これらの働きは、血圧を正しく保つことに直接的に貢献しています。
2022年4月23日(土曜)17時〜天王寺で開催された心臓と腎臓の保護を考える会に参加し、大阪急性期総合医療センター腎臓・高血圧内科副部長の飯尾麗先生から、腎保護を考慮した診療についての講演を聞きました。
上にご紹介しましたように、尿細管は体に必要な成分を尿から回収して適切な状態に保ち、血圧をコントロールするという繊細な働きをしています。尿細管の周りにも豊富に血液が流れている必要があり、傍尿細管毛細血管という網のような血管が取り巻いています。これから蒸し暑い季節になってきますが、腎臓を守るためにも特にご注意いただきたいのは、脱水の予防です。脱水状態が進むと、腎臓の尿細管周囲の血流を減らしてでも、生命維持に必須な脳や心臓への血流を保とうとします。そのことで、尿細管が酸素不足になり、時には、尿細管の機能障害(腎機能低下)が急に発生することもあります。脱水を防いで腎臓を守る、そのためにも、適切な室温、こまめな水分補給、朝食もしっかりと食べる、塩分・ミネラルの適切な補給などがお薦めです。