脂肪肝という言葉を耳にされた際に、肝臓に脂肪がたまってくるメタボの状態と想像されることは多いと思います。確かに、“脂肪肝とは肝臓に脂肪(油)が蓄積する状態”で正しく理解されていると思います。しかし、その脂肪は目に見えるように蓄積するのではなく、肝臓細胞1つ1つの中に目にみえないサイズで中性脂肪が脂肪滴として蓄積していくミクロの変化の集合体が脂肪肝の正体です。

脂肪肝の状態を放置しておくと、糖尿病、肝硬変、肝臓がんなどの疾患の発生と密接に関連します。世界的な統計研究において、脂肪肝の方ではそうでない方と比較して、糖尿病の発生率は5〜15倍、肝臓がん発生率が17倍、大腸がんと乳がんの発生率が2倍高いとの報告があります。ですから、脂肪肝は早期発見と早期対応が重要です。

2023年2月8日(水曜)19時〜天王寺で開催された肝疾患研究会に参加し、大阪公立大学肝胆膵病態内科学講師の藤井秀樹先生から、脂肪肝の診断と治療についての講演を聞きました。現時点においては、脂肪肝治療の内服薬はありません。生活習慣の改善と血液中の脂質改善が脂肪肝改善の鍵です。講演前後には、藤井先生と脂肪肝治療での情報交換と高脂血症治療の重要性について討論を行いました。

体重が正常の方、あるいは、痩せ体型の方にも脂肪肝の方は多くおられます。体型で判断するのではなく、なにかの機会に腹部超音波検査で脂肪肝の有無を確認されることをお勧めします。当院では、予約制にて毎日超音波検査を行っておりますので、数年に1度は検査で確認されることをお勧めします。