65歳以上の日本人統計によると、死亡する原因の1位はがん(悪性新生物)、2位は心疾患(心筋梗塞や心不全)、3位は脳血管疾患(脳出血や脳梗塞)、4位が肺炎となっています。インフルエンザや新型コロナなどでよく肺炎という言葉を耳にする機会は多くなっていますが、高齢になると肺炎は命に直結する病気だと認識するのが正しいと考えます。
そして、治療で肺炎から回復された場合にも大きな問題が残ります。それは、身体機能が衰えることです。入院治療が終了して退院される際、肺炎にかかる前と比較して筋力低下が生じて、歩いたり、立ち上がったり、お買い物や掃除なども含め日常生活をすごすのに必要な身体機能が低下する場合が多くあります。70歳以上になると、退院後もその低下した身体機能の回復があまり望めないという調査報告もなされています。この肺炎による身体機能の低下は、糖尿病、慢性肺疾患(間質性肺炎や慢性閉塞性肺疾患など)、腎臓の病気をお持ちの方では、より顕著になるとの研究報告もあります。
つまり、健康的な生活を楽しく長く過ごすことを目指すにあたって、肺炎にかからないように工夫することがとても大切であることをご理解いただけると思います。2024年6月8日、梅田で開催された健康寿命リハビリテーション研究会に参加し関西医科大学呼吸器感染症・アレルギー科教授の宮下修行先生から、咳・痰・肺炎治療と健康寿命の相関についての講演を聴きました。肺炎を防ぐためにも、守れるところは守る。インフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチン、新型コロナワクチンに加えて、最近ではRSウイルスによる肺炎の予防効果のあるワクチンも開発されてきました。適切なワクチン接種をご検討ください。
肺炎にかからないよう、そして、元気で楽しい生活を送っていたっだけるように願っております。