会社健康診断で尿糖が陽性と指摘された、糖尿病を指摘された、糖尿病の病態指標であるHbA1C値が高いと指摘されたということで来院される方は多くおられます。糖尿病状態は、血液中の糖濃度が高い状態が続いていることを意味します。血液中の糖濃度が高いと、血管が傷ついて、将来的には血管疾患としての心臓病(心筋梗塞もその一つ)、網膜症→失明、腎不全→透析、足切断などとった重い病気につながります。
2025.3.1大阪市北区で開催された糖尿病OSAKAカンファレンスに参加し、関東労災病院糖尿病・内分泌内科の浜野久美子先生を交えて、糖尿病治療において目標とするHbA1C値についての討論を行いました。診療医が概ね目標としているHbA1C値は7.0%以下です。7.0%以下が目標の一つとなる根拠は、心筋梗塞、網膜症、腎不全進行という糖尿病関連合併症を顕著に抑制できるという数多くの研究成果です。
一方で患者年齢によっても目標HbA1C値を変えているという意見も多くありました。40歳代、50歳代では6.5%以下、あるいは正常域の6.2%以下を目指す工夫をするという意見が交わされました。私も同様の目標を持っており、食事の工夫、運動の工夫、薬の工夫、家族の協力など、様々な工夫の積み重ねがかかせないと感じながら治療にあたっております。また、他疾患の有無でHbA1C目標値はさらに左右されると思います。高血圧症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、脂肪肝、慢性肝炎、脂質異常症のある方では、血管の障害が加速する可能性があります。より総合的に糖尿病を含めた治療に取り組むことで、血管を守り、臓器を守ることが大切です。