高血圧状態が長く続くと、血管の壁に負荷がかかり種々の障害を発生させます。心臓では心不全や心筋梗塞の発症、脳での血管障害ではくも膜下出血や脳梗塞の発症と関連します。腎臓は血管の集合体の臓器ですから、高血圧による血管障害は腎臓への影響も大きく、腎硬化症や腎機能低下を引き起こすことが心配されます。

ご家庭で安静時に測定する値としては、125/75mmHg未満(75歳以下の方)が目標とされています。ご来院時に測定する血圧では、140/90mmHg以上が高血圧と定義されており、来院毎に高い場合は、内服薬での血圧調整をお薦めしております。

2021年7月14日(水曜)12時〜webで開催された「塩分過剰による高血圧対策」講演会に参加し、津市で内科・循環器診療をされている大西勝也先生から、日本人の塩分摂取過剰と高血圧対策についての講演を聴きました。

世界各国での塩分摂取についての調査報告では、日本人の1日塩分摂取量は、男性女性共に、オーストラリア・米国・フランスに比べて20-30%多いと報告されています。塩分が過剰に体内に入ってくると、水分を多く摂ることを促して血液内の塩分濃度を薄めようとします。この血管内の水分過剰によって血圧が上がります。また、体内に入った過剰塩分は、交感神経を刺激して血管を収縮させ、さらに血圧を高くします。そして、体外へ塩分を排泄する仕事は腎臓が担っていますが、過剰な摂取塩分を排泄する仕事が増すと腎機能障害が進みます。高血圧の予防としても、また、高血圧の内服治療を受けておられる方はその治療効果をさらに高める為にも、日々の塩分摂取量を少なめになるよう、工夫をされることをお薦めします。