9月の後半は、胃の痛みや胃もたれなどで来院される患者様が増えてきました。とても暑かった夏でしたので胃も相当こたえているのかも知れません。

2018.9.29(土)17時〜、梅田で開催された消化管疾患と漢方療法セミナーに参加し、大阪医科大学先端医療開発講座教授の富永和作先生から漢方成分の胃への作用について講演を聴きました。

胃の病気では、粘膜に炎症を起こしていたり、潰瘍ができている場合には胃酸を抑える必要がありますが、この場合には西洋医学の薬(西洋薬)が良く効きます。一方で、胃がもたれる、胃がはっている(膨満)、そして食欲低下が気になるような場合には、漢方薬が力を発揮してくれることを多く経験します。

胃は自分自身で食欲を調節しています。胃粘膜が産生するグレリンと呼ばれる物質が脳に働き食欲を促進させます。また、グレリンは成長ホルモンの分泌を促すことを介して、老化予防にも働きます。このグレリン分子の産生を促す漢方成分や、胃をリラックスさせながら、胃の運動と胃内容物の十二指腸への排出促進を促す漢方成分などは、疲れた胃を元気にさせてくれるのに多いに役立ちます。当院では、西洋薬と漢方薬を組み合わせで、炎症のない元気な胃となっていただくことを通じて、老化の予防も考えて処方しております。