2023年10月15日(日曜)9時〜北区で開催された、漢方療法症例検討会に参加し、漢方診療の著書を多数執筆されているセンプククリニック院長の千福貞博先生を囲みながら、大阪府下約30名の医師と症例検討会を行いました。生薬(漢方成分の原料)の匂いを嗅ぎながらの4時間の会でした。
漢方療法では、症状や病気が発生する根本的な原因を、お話しを聞きながら、声のトーン・表情・顔色・脈・舌などを総合的に観ながら考えることがスタートとなります大切となります。症状そのものではなく、症状の原因を考え、その原因をなるべく取り除く漢方薬を内服していくことで、症状改善に結びつくことを目指します。ですから、漢方薬を1種類内服することで、複数のお悩み(症状)が改善することに、しばしば遭遇します。
一つ例を挙げますと、体全体としての血流がよどむことを瘀血(おけつ)と呼びます。瘀血は、月経周期や、天候の変化、ストレスの蓄積、栄養の偏り、不眠、風邪などの後の体力回復不良などが原因で発生します。瘀血が発生すると、胃の動きが悪くなり“胃もたれ”や“嘔気”などが発生します。内耳では“めまい”や“ふわふわした感じ”などを生じ、頭では“頭痛・頭重”や“気持ち悪さ”を引き起こします。腹腔内では“下腹部の張りや痛み”、“便秘”にも関連しますし、下肢では“むくみ”や“膝の腫れ”などを生じます。これら1つずつの症状のお悩みが他症状の悪化を引き起こす負の連鎖になっていることにも多く出会います。
このような症状が複数関連しあった場合、瘀血を改善する漢方薬の内服を試みる意義があると考えます。いくつかの症状が改善し、その改善が他症状に良い影響をもたらして、活力がでてきたと実感いただけた患者様では、大変喜んでいただけることも多く、今回のような漢方療法を学ぶ機会に恵まれていることには本当にありがたく貴重なものです。
いわゆる西洋薬としての内服の効果に加えて、漢方薬の内服についてなにかご質問がございましたら、診察の際にお声かけください。
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守備範囲が広い葛根湯