手や足のしびれで整形外科を受診したところ、糖尿病からの神経障害との診断にて内科的糖尿病治療を受けるようにと、紹介受診されることが多くあります。血糖が高い状態(糖尿病)によって神経細胞自体が障害を受けることや、神経を流れる血流が十分でなくなるなどの複合的な要因で神経障害が進行します。糖尿病によって生じた神経障害は、血糖が正常となっても正常に戻ることが少ないため、すこしでも早い段階で治療を始め、神経障害の発生を未然に防ぐことが望まれます。

他の例としては、糖尿病によって胃や腸の動きを司る神経(自律神経)の障害が進むと、胃腸の協調的な運動ができなくなり、胃もたれや、便秘の症状が強くなってきます。

感覚神経の障害が進と、足などの傷が化膿しても痛みを感じにくいために病状が適切に把握されず、ひどくなってから受診されることもあります。また、こたつやカイロなどを使用した際の温かい感覚が衰えると、気がつかないうちに低温やけどができてしまう方もおられます。

2023年7月8日(土曜)16時〜、中央区で開催された神経障害と痛みについての講演会に参加し、大阪医科薬科大学病院長の南敏明先生から神経障害の発生原因・予防対策・治療についての講演を聞きました。血糖が高い状態は、神経だけでなく、肝臓、心臓、腎臓、血管、網膜など体のいろいろな部位の障害を引き起こします。健康診断等で血糖値やHbA1C(糖尿病の血液指標)が高めの結果であった場合は、早めの受診をお勧めします。