失神とは、一過性に意識消失が発生したことによって姿勢が保持できなくなることを意味します。あくまでも“一過性”であり、通常は数秒から数分程度で自然と回復し意識が完全に戻ります。脳幹部や大脳皮質の血流が突然低下することが発生原因です。失神したので周りの人が救急隊を呼んでくれて救急病院に搬送されたという経験をお持ちの方もおられると思います。
失神発症の原疾患として、概ね次の3つを鑑別することが必要です。①血管反応を司る自律神経調節の障害やアルコール多飲による「起立性低血圧による失神」。時に、パーキンソン病や糖尿病がその原因であることもあります。②感情的なストレス、長時間立っている、光の過度な刺激、顔面蒼白などの前駆症状を伴う「反射性(神経調節性)失神」。③徐脈や頻脈、心房細動などの不整脈を原因とする「心原性失神」。心不全、弁膜症、大動脈解離などの器質的心肺疾患が原因のこともあります。
2022年5月28日(土曜)18時〜梅田で開催された不整脈ハイブリッドセミナーに参加し、大阪警察病院循環器内科副部長の南口仁先生から、失神診療での診療所—病院連携についての講演を聞きました。
治療が必要な不整脈がないか、糖尿病や心不全がないかなどを、心電図や血液検査で把握することはとても重要です。失神から回復されておちついてからで問題ありませんので、失神を経験され、ご心配な方はご相談ください。