健康診断や人間ドックの受診された結果、LDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)が高いとの指摘があり、内服治療の必要性について相談を受ける事が多くあります。悪玉コレステロール値が高いと動脈硬化が進みます。その結果として、心筋梗塞や脳梗塞などの致命的な病気を引き起こす危険性が高くなることは、皆様よくご存知知です。一方で、どのくらいの値であれば内服治療を受けるべきなのか、どのくらいであれば、様子をみていて良いのかについて、情報が少なくて悩まれているのが実状と感じます。
悪玉コレステロール値と心筋梗塞の発生リスクについて、日本や欧米で多数の臨床研究がなされ、結論としては、低ければ低いほどリスクを下げることができることが明らかとなっています。The lower, the betterという英語がよく紹介されます。150mg/dLよりも、120mg/dLが良い、120mg/dLよりも90mg/dLが良い、90mg/dLよりも70 mg/dLが良いのは、世界共通の結果です。これらの結果をふまえての私のお薦めは、高血圧や糖尿病などの基礎疾患がない方は、悪玉(LDL)コレステロール値が150mg/dL以上の場合は、内服治療をお勧めです。そして、高血圧や糖尿病などの基礎疾患をお持ちの方では、120mg/dL以上の場合は、内服治療をお勧めします。内服治療に加えて、悪玉(LDL)コレステロールを下げる効果のある食事として、青魚やオリーブオイルを使った食事や、野菜を多めにすることも意義が高いです。
2021年8月31日(火)に開催されたweb講演で、自治医大学長の永井良三先生が「日本人コレステロール低下療法のエビデンス」について詳細な解説をされました。突然発生する心筋梗塞を未然に防ぐためにも、悪玉(LDL)コレステロール値には特に着目してみてください。