健康診断で、中性脂肪やコレステロールの値が高く要注意と記載されていたけれど、どのように注意していいかわからない。経過観察との評価であったけれど、次はどうしていいかわかならい。本当に経過をみているだけでいいのか心配。など、心配されて来院される方が多くいらっしゃいます。中性脂肪やコレステロールの値が高くても、それらだけで引き越す自覚症状は基本的にはありません。これらの値が持続的に高い状態なのか、たまたま高かったのか、あるいは年齢的に高くなる時期にさしかかっているためであるのか、等を把握しながら、場合によっては、内服治療も選択肢になってきます。その理由は、中性脂肪やコレステロールの高値は、血管細胞や臓器の細胞に対して酸化ストレスなどの障害を引き起こし、その持続によって動脈硬化としての心筋梗塞や脳梗塞、腎臓病、肝臓病、糖尿病等の発症リスクを高め、病状を加速させることが挙げられます。
2021.3.24(水)19:30〜日本全国の医師・医療関係者を対象としたweb講演会を行いました。私は、クリニック開院前までは、臓器の成り立ち、臓器の修復過程での細胞の挙動、臓器を創り上げる再生医療の研究分野において、世界をリードする研究成果の発信を行い、医学の進歩に微力ながら貢献してきました。これらの研究で得られた成果と、クリニック診療での中性脂肪/コレステロール治療でみられる血液データの変化を照らし合わせてしっかりと見定めると、多くの場合、患者様一人一人の成人病の進行具合を読み解くことができるのではと感じるようになりました。成人病の多くは、発症するまで見えてこないのが難題です。医学書に書かれている確立した医学論ではありません。しかし、診療の現場で見える事実から理論的に矛盾なく見えてくる今後の発展性について、発信を行って、多くの臨床の先生方との意見交流を重ねることはなによりも大切です。心筋梗塞、脳梗塞、腎臓病、肝臓病、糖尿病等の成人病の発症予測と、適切な時期での治療開始による発病予防という、次の世代の医療がみえてくることに貢献できればと考え、本講演をお引き受けした次第です。