2022年11月27日(日曜)12時〜大阪府医師会館で開催された、かかりつけ医機能研修会に参加し、東京都健康長寿医療センター理事長の鳥羽研二先生から、フレイル予防と意義についての講演を聞きました。TV番組などで、“フレイル“という言葉を聞く機会があるかと思います。加齢に伴う筋力低下などによって、日常生活をスムーズに行うことに苦労する、疲れ易くなって家に閉じこもりがちになる等の衰え全般を意味します。筋力の変化に加えて、関節の障害、認知機能の障害、社会的な要素などが重なり合って進行すると言われています。自身で電車に乗りお買い物に出かける状態をすこしでも長く続けることなどの目標は、フレイル予防の観点でとても意義が大きいものと感じます。
適切な運動を定期的に行うことはフレイルの予防に欠かせません。ご自身でも行うことができる場合もありますし、リハビリテーション参加が効果を発揮することもあります。一方で、適切な栄養を安定して摂取することも気を配りましょう。たんぱく質、ビタミン、カルシウムなどが食事から適切に取れていると、筋肉や骨だけでなく、全身臓器の働きの維持にも役立ちます。一つの例を「納豆を週に1回食べることの意義」について解説します。納豆に含まれている菌が腸管内でビタミンKを作ってくれます。体内に吸収されたビタミンKは、骨を強くするたんぱく質を活性化してくれますし、血液が適切に固まる因子が適切に働く役割もします。人間はビタミンKを体内で合成することはできませんので、週に1回程の納豆でビタミンKを適切に補うことはとても大切です。納豆だけでなく、ビタミンKを多く含む食品(ほうれん草、春菊、小松菜、鶏卵、セロリ)もおすすめです。加えて、胃や腸が健康な状態であることも、栄養素を適切に吸収するにあたって大切です。
このように栄養吸収等の観点からのフレイル予防には、萎縮性胃炎(慢性胃炎)、糖尿病、COPD(慢性閉塞性換気障害)等の呼吸器疾患、貧血、腎臓病、高血圧等の持病を適切に治療して、それらの病態が安定していることが大切です。総合的な視点からのフレイル予防を気にかけた日常生活がお薦めです。
#注 ワーファリンというお薬を服用されている方は、納豆を多く摂取されることはお控えください。